縁の下の力持ち ①

我々人間は今や、人間の記憶能力をはるかに超越したコンピューター制御による時代に生きています。つまりは、スマートフォン、パソコンなどの電子媒体によるIT技術を駆使し、ビジネスを発展させ進化し続けています。

 IT企業と聞くと、すごくハードルの高い「高収入」「エリート企業」「できる人間」「頭の良い人」などと勝手に連想してしまいがちですが、その企業を支えているのはIT技術だけでなく、それを製造している人達がいることを忘れてはいけません。

 

 今や製造業は「低コストで大量生産」が主になっており、機械による無人工型製造が主になってきております。当然機械を操作する人間は必要ですが、言い換えればIT社会の発展により、ロボットに侵食されていると言うべきでしょうか。コンピューター制御により単純作業をプログラム化し、人間の作業をなくすことでそこに発生する人権費を削減に成功しました。当然、ロボットには人間以上の記憶能力・作業効率が保証されており「疲れる」ことを知りません。一定の作業をひたすら繰り返して、人間の限界の倍の量を製造します。

 

 確かに技術と言うのはすごい産物です。時代相応の開発物を生産し、貿易を通じて利益も確保できる経済発展の延長線「MADE IN JAPAN」のネームバリューは海外でも好評価であることが事実です。

 

 人工知能に、3Dプリンター、いつしか人間のいないロボット産業の時代は近づいてきているのかもしれません。しかし、人間が作り出したこのロボットに人間の心は存在しません。

 ソーシャルネットワーク・インターネット・デジタル化など、全てが信号化データ化されている現代に、なぜロボットで対応できない業種があるのでしょうか?

 

 人間が住むための「家」は「建築」という業種にあります。床があり、壁があり、屋根があり、生活環境がある「家」はロボットや3Dプリンターでは作ることができません。法律で定められた安全基準に関しては、いくら記憶量の多いロボットの脳があっても、人間にしか組み立てができないからです。

 

 つまりロボットにできないことを我々は行うことができることが一番の誇りです。そして、その努力は必ずしも人の目に留まるばかりではありません。実際の作業現場を知られることなく、努力の結晶の付加価値をもって世に排出されます。